
1976(昭和51)年
格闘技世界一決定戦
半世紀前の1976年6月26日、日本武道館で行われたアントニオ猪木対モハメド・アリ戦は、“格闘技世界一決定戦”として世界中を熱狂させた歴史的一戦である。
現役プロボク シング世界ヘビー級王者アリと、プロレスの王者・猪木が激突する――まさに地球規模の戦いだった。
日本国内のテレビ視聴率は驚異の54.9%を記録。さらに世界37か国へ衛星生中継され、14億人が観戦したとも言われている。


この一戦では、通常版だけでなく中吊り広告など数種類のポスターも制作された。
ポスター上の最高入場料は10万円。しかし実際には30万円の超高額シートも存在し、約200席限定で販売されていたという。
赤じゅうたんが敷かれ、各座席には専用座布団(展示中)まで用意された豪華仕様で、すべてにおいて規格外であった。
一方、この日は猪木対アリへの注目があまりにも大きく、藤原喜明、木戸修、星野勘太郎、木村健吾が、前座のタッグマッチで試合を行っていたことを語る者はいない。
また当日は、アリの肖像権管理のため観客のカメラ持ち込みが厳しく制限され、会場入口で一時預かりが行われた。当時のアリが、単なるスポーツ選手ではなく“世界的スーパースター”だったことを物語るエピソードである。



この「世紀の一戦」は、試合後には「世紀の凡戦」、「世紀の茶番劇」などとマスコミに酷評された。また、ファンの間でも賛否両論であった。しかし、この二人の戦いが、その後のプロレス界、格闘技界を変えたことは紛れもない事実である。
時を経て「世紀の一戦」は、歴史的価値、当時は理解されなかった技術の攻防が再認識され、この一戦こそが、現代MMA(総合格闘技)の原点と認められるようになった。
そして2016年に、この試合が開催された6月26日が「世界格闘技の日」と認定された。
猪木対アリ――それはプロレスという枠を超え、20世紀スポーツ史に刻まれた伝説の闘いだった。