講師紹介
英語脳クリニックCATCH
代表/講師 松並 修 (マツナミ オサム)
TOEIC990点満点
1971年 京都生まれ
1993年~ 英国での生活と独学で英語を学ぶ
2002年~ 大手英会話学校の講師を務める
2010年 英語脳クリニックCATCHを開校
◆◆◆ 英語学習が目的ではなかったイギリス生活 ◆◆◆
私は1993年5月、21歳の時に初めてイギリスへ渡りました。目的地は、世界的な観光地ロンドンや、オックスフォード、ケンブリッジのような名門大学の街ではありませんでした。
私が目指したのは、ランカシャー地方の「ウィガン」というイングランド北西部の町です。
1800年代半ば、ランカシャーレスリング(オリンピックのフリースタイルやプロレスの源流と言われるレスリング)が盛んだった町で、 その伝統のレスリングを受け継ぐ、ロイ・ウッドという人に会いたくて行きました。(英語から話がそれていくので、この話に興味を持ってくださった方は、こちらをご覧ください )
インターネットがなかった当時、日本を出発する前にイギリスの地方にあるジムの情報など全く得ることができませんでした。マンチェスター空港に到着後、バスと電車を乗り継いでウィガンまで行き、そこからタクシーに乗り、日本を出発する前に予約していたホテルに辿り着きました。
◆◆◆ 使えない英語 ◆◆◆
翌日から、ロイ・ウッド氏と彼のジムを探し始めました。ところが、自分の英語がほとんど通じないことと、ネイティブスピーカーの話す英語がわからないことに衝撃を受けました。 私は、大学は行っておらず、英語の勉強は高校卒業までです。それでも、ある程度の単語などは知っているつもりでしたが、 どういうわけか、うまくコミュニケーションが取れないのです。
当然です。英語でコミュニケーションを取れるようになるための練習・勉強をしていないのです。
学校では、試験で点数を取るための勉強しかしてこなかったからです。
町の観光案内所で、ジムの場所を尋ねたところ、はっきりとしたことはわからないが、おそらくここだろうという場所と、そこへの行き方を教えてもらいました。しかし、言ってもらったことは聞き取れず、紙に書いてもらいました。その紙をじっくり眺めて読みました。
Are they expecting you? The club you are looking for is at the side of Aspull Rugby Club near the new Methodist Church. Catch a bus from bus station in centre of Wigan to Aspull.
“Are they expecting you?” と書いてあり、「expect...この単語は知ってる!expect = 期待する。ん?でも、あなたに期待していますか?ってどういうこなんやろ???」
今思えば、このような典型的な使えない英語の発想・覚え方をしていました。 書いてもらった単語のほとんどは知っているはずなのに、聞き取れません。単語の意味を知っているつもりでも文章の意味が入ってきません。
当然です。<英単語=日本語訳> こんなふうに単語を覚えて、一語ずつ訳して考えるのは、翻訳機を使っているのと同じです。意味不明な日本語訳になることもよくあります。
とくに難しい単語もない、これらの短い文章を時間をかけて理解し、バスターミナルに向かいました。ところが、たくさんのバスがあり、どれに乗ればよいのかわからずにあたふたしていました。
すると、親切な女性が声をかけてきてくれたので、観光案内所で書いてもらったメモを見せました。やはり何を言っているのかわからず、紙に書いてもらいました。
Is it the first time you have been? It is hard to find, so I will take you there. Do you know what time it is open?
しかも、hard to find が私には難しいと思ったのか、difficult to see it と書き変えてくれています。
「ややこしいので、そこまで連れて行ってあげる。」ということ言ってくれたのですが、またまた難しい単語はありません。どれも中学3年間で習うものばかりです。 「なんでこんな簡単な単語も聞きとれへんのやろ???」 と思いました。
当然です。ネイティブの発音する音を、無理やり日本語の音に置き換えて、英語を間違った音でどんどん覚えていっているからです。
◆◆◆ 英語の覚え方を変える ◆◆◆
とにかく、日本の学校でやってきた英語では通用しないことを、一瞬で痛感させられました。
滞在の一番の目的であるレスリングの練習は、体を動かすものなので、言葉がわからなくても、さほど問題ありません。
しかし、それ以外のことでは言葉の壁は大きく、ちょっとしたやりとりにもすごく時間がかったり、上手く意思疎通ができずによく勘違いすることもありました。
イギリス滞在中は、パブの2階に部屋を借りて生活をしていました。下へ降りると、近所の人が集まってお酒を飲みながら、あまりよろしくない英語も面白がって教えてくれます。週数時間、地元の大学でパートタイムスチューデントとしてEFLクラスも受講しました。ロンドンなどの観光都市とは違い、ウィガンでは日本人に出会うことも、日本語を見たり話したり聞いたりすることもなく、本当にず~っと英語漬けの生活でした。インターネット普及前だからこそできた体験だと思います。
英語を話せるようになれば、あらゆることで時間を短縮できる!
何とかして早く英語を自由に操れるようになろうと勉強に励みました。しかし、これまで日本の学校でやったきたやり方では絶対ダメなんだという意識は最初から持っていたので、試行錯誤しながら、様々なやり方を試してみました。
よりよい勉強法を考えることを、とても楽しく感じていました。まず心がけていたのは、以下のことです。
★【英単語⇔日本語の単語】という覚え方をしない!
そんな覚え方を続けていても話せるようにはならないと思い、ノートのつけ方を変えました。 これにより、新しい単語もすぐに実際の会話で使えるようになり、また、一度覚えると忘れにくく記憶に定着するようにもなりました。
★とにかくネイティブの真似をする!
パブで周りの会話についていけないので、1人でボソボソと他人が話しているのを真似していました。 いわゆるシャドーイングと呼ばれる学習法です。誰から教わったわけでもないのですが、これはいい方法だと思いやっていました。
★英語の音で覚える!
英単語の上にカタカナで読みを書くということもすぐにやめました。そんなことをしていたら bus と bath、 heart と hurt、 bat と but などを同じ音で覚えてしまいます。 英単語にカタカナを振ることは、英語を覚えようとしていることではないのです。
★必要なことから順番に!
イギリスで生活をしている時に、現地の子供向けテレビ番組を観ても、聞き取れないし理解できませんでした。 子供用の本を読んでも、わからないことだらけでした。 買い物に行って、レジで金額を言われても聞き取れないこともしばしば。ところが、日本人が必死に勉強しているのは、例えばこんなことです。< acknowledge - ~の存在、正しさを認める、justify - 正当化する、as a matter of course - 当然のこととして>これらは高校で習う単語・熟語です。こんなことを覚える前に、もっとやるべきことがあるのではないでしょうか?
むやみやたらに難しい単語や成句を覚えても意味がないと感じ、簡単なことから確実に覚えていくという、当たり前のことをきっちりできるようにしようと思いました。
★辞書を使わないようにする
もちろん、1人で家でじっくり勉強したい時には辞書は必要なのですが、会話をしている時、他の人といる時には使わないようにしました。最初は、何処へ行くにも常に辞書を持ち歩いていました。辞書を忘れて外出したときは不安でしかたありませんでした。英語で何と言っていいのかわからないので、和英辞書を引き、相手の言った単語がわからないので、英和辞書を引く。このように会話を中断することにもなる、わからないことがあればすぐに辞書を引くという習慣がよくないことに気がつきました。 (当時は紙の辞書だったので、いちいち調べるのが面倒というのもありました。)
「英語を自由に操れるネイティブスピーカーが目の前にいるのだから、英語のことでわからないことがあれば、わざわざ辞書を使わずに、直接聞けばいいではないか」 という発想になっていきました。現地の子供は、わからないことがあると、大人に質問し、教わって言葉を覚えていきます。「ダメだ、これは英語では何と言うのか知らないので会話が進まない……」ということではないのです。単語を知らないことが問題なのではなく、そのわからないことを英語で説明・質問できないことが問題なのです。
◆◆◆ 英語の学び方を学ぶ ◆◆◆
現地伝統のレスリングを学ぶため、観光ビザを駆使して日本とウィガンを往復して、合計2年半くらいこの町で過ごしました。日本にいる間も、英会話学校などには行くことはありませんでした。イギリスでの経験と、自分の学習法でどんどん上達できると実感していました。
将来は英語を使って仕事をしたいという思いもありましたが、とにかく自分の英語力の向上に夢中でした。 資格試験などにも、とくに興味はなかったのですが、2001年に人に勧められてTOEICを受験してみました。
TOEIC模試の本を一冊購入し、2ヶ月間だけ勉強して挑んだ初めての受験で、835点取得しました。
ガイドラインを見ると、860点以上がレベルAとあり、また求人広告を見ても、それが英語を専門的に使う様々な仕事の最低条件のようでした。もう少しTOEIC用の勉強をすれば、すぐに860点は越えられると思い、次のテストの受験申込みました。 そして、計画通り865点取得し、英会話講師の仕事に応募しました。
2002年春、某大手英会話学校で英会話講師として働き始めました。 「教える」という立場でしたが、同時にとても「自分の勉強」にもなりました。他人に教えるということは、自分がきちんと理解してないといけないからです。 職場に行けば、常に英語で会話をするという、英語上達のためには最高の環境でした。
ここで学んだことは非常に大きかったです。
ほとんどの生徒さんは、私自身もそうであったように、勉強の仕方・英語の覚え方が目標と一致していないと思いました。また、彼らは仕事などで忙しいことから、英会話教室のクラス以外では、英語に触れる時間があまりにも短いのです。私は生徒さんの英語の知識そのものより、この2点が改善しなくてはいけない一番の問題だと思いました。そんな思いから、イギリスでの生活と、独学で学んできた自らの英語学習法を紹介したく、2010年にスタートさせたのが、「英語脳クリニックCATCH」です。
自分で教室を始めるにあたり、なにか宣伝文句になるようなものが欲しく、TOEIC満点を目指しました。 容易ではないとは思いましたが、勉強の仕方が正しければ、必ず取れると確信していました。
予定通り、オープン前には達成でき、名刺などにも 「TOEIC990点満点講師」と入れることができました。
学校の試験のためだけの勉強では、英語を使えるようにはならないと述べてきましたが、“学び方”を正しく学べば、テストのためでも、会話のためでも、目標は達成できるということを自分で証明できたと思いました。
当たり前のことかもしれませんが、英語上達のためには、まず目標を設定し、そのためには何をすればよいのかを明確にし、ひとつひとつを確実にこなしていくことが大事だと思います。
学習に終りはなく、私自身もまだまだ学び続けている身ですが、“英語の学び方を学ぶ”ことの大切さをお伝えできれば幸いです。
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